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第89回  石巻アーカイブスプロジェクト代表 高橋 幸枝さんに聞く②「震災を後世に語り継ぎ、有事に備える」

 先週に引き続き、宮城県石巻市に住む高橋 幸枝さんからお話を伺いました。高橋さんは、被災体験談等を伝えるラジオ番組制作に取り組む会、石巻アーカイブスプロジェクト代表でいらっしゃるとともに、地元コミュニティ放送局、ラジオ石巻のアナウンサーでいらっしゃいます。聞き手は法政大学の「まるちゃん」こと丸岡 美貴です。

まるちゃん:
石巻アーカイブスプロジェクトはどのような活動をなさっているのですか?

高橋さん:
石巻アーカイブスプロジェクトは、東日本大震災が発生した年、2011年8月に発足しました。立ち上げ時は、震災後まだまだ日々生活することが本当にたいへんで、ラジオ上で発信する情報は「◯○で物資の配給がありますよ」「がれきはこんな状態です。道路はここが通れません」「ご遺体の方はこのようになっております」などでした。
 そんな中、宮城県外に住んでいる知人から「被災体験は語り継いでいかなければならないものだ」と言われました。「将来、災害が発生する地域はたくさんあるので、その時を生きる人たちに自分たちの経験談を伝える役目も果たしていかなければならない」と。
「わたしたちが被災された方々のお話を聞いて、みんなに伝え発信していこう、その声を後世に残すために記録していこうじゃないか」という思いで、ラジオ番組を制作する形をとってスタートしました。
 インタビューして回りますと、一人ひとり体験談が違います。自分たちも被災者の一人なんですよね。聞く側も同じ思いをしているということで、胸を開いてみなさんものを語ってくださるんですよ。
しかし一方で「たいへんな思いをした人につらい体験をもう一度聞くのはどうなんだ」という意見も中にはありました。悩んだ部分もあったのですが、語ること、溜め込んだものを出すことによって、精神的にも落ち着きを取り戻す人もいます。「少しずつだけれども、お話を聞いて後世に残していこうじゃないか」という気持ちでやっています。

まるちゃん:
ありがとうございます。石巻アーカイブスプロジェクトは2014年4月の放送で第30回目の放送を迎えていますよね。今後のビジョンや方向性を教えていただけますか?

高橋さん:
まずは震災発生後、5年をめどにやっていこうと。その後については、形を変えるべきなのか、続けるべきなのか、5年という時に立って、みんなで考えようというふうに思っています。
 ラジオは、もちろんこの時間のこの番組に合わせて聴こうという人もいますが、何かの作業をしながら聴いている人たちが大半だと思うんですよ。ラジオつけていたら、震災について「こういう話もあったんだ」ということが流れてきて「自分自身も有事に備えなければならない」と、知らず知らずのうちに思えたらいいんじゃないでしょうか。

まるちゃん:
まさにこうした体験を後世に語り継ぐことは、いのちのバトンをつないでいる感じがします。

高橋さん:
みなさんそれぞれの家庭で有事に備えてはいます。被災地域に住みながらも、震災直後に必死だった思いが薄れている感覚もなくはないんですよね。被災体験を聞くことによって、当時を思い出し「ちゃんと有事に備えなければな」という感覚をみなさんに取り戻してもらう役割も、被災地域に住んでいる者として必要だと思いますね。

まるちゃん:
高橋さん、ありがとうございました!

 次週は「東日本大震災直後の高橋さんとラジオ石巻の状況」「現在の石巻市にわたしたちができること」についてお話を伺います。

担当

担当:丸岡 美貴(法政大学)

担当:丸岡 美貴(法政大学)

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