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第66回 日本財団 東日本大震災現地支援センター責任者の黒澤 司さんに聞く【4】

 今週も日本財団 東日本大震災現地支援センター責任者でIVUSA特別顧問の黒澤 司さん(くろさん)にインタビューをしていきたいと思います。インタビュアーはフェリス女学院大学の高木 裕美です。

 これまで3週にわたって、くろさんが災害現場でどのような活動をされてきたか聞いてきましたが、今週はくろさんが災害ボランティアで感じてこられたことや、私たち学生に伝えたいことなどを聞いていきたいと思います。

高木:
 災害ボランティアに実際に行ってみて、その後の人生で活かせることはありますか。
黒澤さん:
 せっかく被災地で活動していろいろなことを見てくるわけですから、そこでいろいろなことを学んで、それを地域に持ち帰って地域の防災に役立ててもらいたいなと思います。
 例えばIVUSAの学生ですと、地震や水害の救援活動の経験を通して、どうしてその地域で災害が起きてしまったのかを勉強して知って欲しいですね。水量や地形を分析しよく理解して、今度自分たちが住んでいる地域と重ね合わせて、どうしたらそういった災害から身を守れるかということを知っておくことが、経験者としてできる役割です。4年間それを経験してきたことを無駄にしないで、役立てて欲しいです。
高木:
 私たちが日本に住んでいく上で、絶対に自然災害は避けられないものだと思うのですが、普段からどのようなことを準備しておくべきだと思いますか?
黒澤さん:
 やはりよく言われている72時間という数字を意識することです。72時間は消防であったり警察であったり、自衛隊であったり、公的な救援を受けられないということを前提に、3日閒は自分たちで助け合い、生き延びる。10日後からは人を救出するといった公助での作業になりますので、地域間で防災用品を備え、それをしっかり使えるように、普段から訓練しておくことが大切だと思います。
高木:
 準備するうえで、水や食べ物の準備はできると思うのですが、トイレはどのように備えれば良いのでしょうか?
黒澤さん:
 実はそこが被災した時に一番大事なところなんです。震災関連による死亡原因で、トイレができなくて死んでしまうというケースが結構あります。トイレになかなか行けない状況であるお年寄りの方が水分を控えて、血液の循環が悪くなり亡くなってしまうといったこともあります。
 トイレの問題について、どのように対処するかを学んでおくことが大切だと思います。災害が起きれば水が出なくなってしまうので、水洗トイレは使えなくなりますが、対処の方法が書いてある災害に関してのマニュアルも多く出ていますので、そちらで勉強してもいいでしょう。
 例えば買い物袋を洋式便所のところに敷いたり、講習会に参加したりするなど、普段から学習しておくことが大事だと思います。
高木:
 では、最後になりましたが、くろさんから私たちIVUSAの大学生やリスナーのみなさんにメッセージがあればお願いします。
黒澤さん:
 先ほど72時間は自分たちで持ちこたえなければいけないという話をしましたが、よく聞かれるのは地域防災の時にどういったものを備えておけばいいのかということです。
 私は5つのアイテムを必ず言います。重いものを持ち上げられるジャッキ・ロープ・大きなハンマー・長めのバーム・そしてできれば小型のチェーンソー があれば、もっといろいろな救援活動ができると思います。
 それともう一つみなさんにお伝えしたいのは、東日本大震災があってから研究者の方たちが、例えばあと何年のうちに大都市で被害者何万人規模の災害が起こるといったデータを取っていますが、人間というものは都合のいいもので、その数字の中には自分は入っていないと考えてしまうんですね。自分たちも入れて、行動することが大事です。
高木:
 くろさん、ありがとうございました。これで4週に渡る黒澤 司さんへのインタビューを終わらせていただきます。
 私は、4年間災害救援活動に関わらせていただいたのですが、くろさんと災害ボランティアに行って経験したことが、この4年間で終わらせるのではなく、社会人になっても転勤しても、災害に関しての勉強と並行して実際に現場で感じた知識や想いをもっとまわりに広げていきたいです。

担当

内藤 友晴(法政大学)

内藤 友晴(法政大学)