今週も日本財団 東日本大震災現地支援センター責任者でIVUSA特別顧問の黒澤 司さんにインタビューをしていきたいと思います。インタビュアーはフェリス女学院大学の高木 裕美です。
- 高木:
- 東日本大震災ではどんな活動をしましたか?
- 黒澤さん:
- 3月11日は宮城県の名取市にいまして、そのあと石巻市に移りました。被害の最も大きかったという情報もあったのでその地区に入りました。今でも覚えているのは、一番被害が大きかったという小学校でIVUSAと一緒に活動したことです。
その時住民の方がIVUSAの学生たちとお昼ご飯を食べて、大声で笑っていたのが印象的で、その中のお母さんが「3月11日以降こんなに笑ったのは初めてです」とおっしゃっていました。学生たちの明るさや屈託のなさがこのような雰囲気を作ったのかと思い、学生が被災地に入って活動することって、学生ならではの特権であると感じました。
- 高木:
- 私も被災地で活動するのはその時が初めてで、多くのボランティアが入っていましたが、活動がスムーズに行くようにどのような工夫をされていましたか?
- 黒澤さん:
- 石巻市に入ったボランティアさんたちは26万人と言われています。一番ボランティアが入ったのが石巻と言われていますが、活動する上での効率を考え、そこに集まったボランティアやNGO・NPOが夜に会議をして、次の日の活動をどうするか役割の割振りをしていましたね。
- 高木:
- 私たちが泥の掻き出しをしているのをマッドバスターズと呼ぶなどして、一つひとつをカッコ良く楽しそうにやっていましたね。
- 黒澤さん:
- 悲惨な状況の中で活動しなければならないので、ボランティアそのものが悲惨な状況から離れて、クールダウンするというのが大切です。そのような意味では、夜の会議はなるべく明るく、昼間の辛さを薄めるというのが大事にしました。団体が違っても一つの組織のように活動していました。ちょうどゴールデンウィークを前に観光客を取り戻したいという思いもあったので、石巻で活動しているボランティア団体全てが同じ目的をもって活動することで、大クリーン大会を行いました。それでかなり街の中も綺麗になりました。
- 高木:
- ボランティア団体はどこも我が道を行くのが多いと思いますが、それをよくまとめて一つにできましたよね。
- 黒澤さん:
- それは自分でも不思議でした。ボランティア団体がもともと持っている思想や考え方はあるのですが、今回は目的を同じくして、自分たちの活動にこだわらずにできました。これからはそのような形になるのではないかと思います。
- 高木:
- ありがとうございました。
次回は、災害ボランティアとは具体的にどのようなことをするのかについてお話を伺います。
担当
高橋 七望(東洋大学)
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