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第49回 福島県南相馬市の現状【2】 ~放射能の測定について~

 先週に引き続き、福島県南相馬市、南相馬ひばりFMスタッフの今野 聡さんに石井 将がお話を伺いました。

 放射能に翻弄されている町ではあるけれども、現地で採れる野菜は全て検査を行っており、南相馬市にある生涯学習センターに野菜を1kgみじん切りにしたものを持っていけば測定してくれるそうです。測って測定されたデータを基に個人の判断に任せているものもあります。
 民間の団体でそういった食品の検査を行っているところもあります。市の団体と異なる所は、チェルノブイリの事件以降、放射能についての研究を続けてきた専門家の方も所属している所があるので、市やほかの団体に対して専門的なアドバイスを提供してくださっています。

 野菜に限らず、水や土の汚染度の検査も民間団体は協力してくれるので、現地の方々は家庭菜園で採れた野菜を現地で安全を確認してそのまま消費している一方で、原発から離れた地域では未だに「原発近くで採れた野菜なんか食べたくない」「原発から20kmにも満たない場所で採れた野菜が汚染されてないわけがない」といった声をたまにネットで見ることがあるそうです。

 今野さん曰く、この意見の面白いところは、「ちゃんと安全かどうか検査しろ!」という声があり、当然安全を測ったところ、今度は「10ベクレル以上の数値が検査で出なかったといえ、10ベクレル以下の放射能が含まれているはずだ!」と決めつける人がいるとのことです。それじゃあどうすれば安全だと信じてくれるというのか。0ベクレルなんて測れないし、そもそもそれはあり得ない以上、この状況はどうすればいいのかほとほと困っています。

臨時災害放送局 南相馬ひばりエフエム チーフ 今野 聡さん
臨時災害放送局 南相馬ひばりエフエム
チーフ 今野 聡さん

 放射能というのは自然の中で微量ながら存在するため、限りなく0にするというのがそもそも無理な話であり、専門家は検出された数値の安全性を保証しています。
 今年は残念なことに南相馬市はお米の作付けはしておらず、相馬市の田んぼは青々としている一方、南相馬市の田んぼは雑草だらけでひどい状況です。南相馬市の判断で、田んぼの安全性をもう少し調査することが決まったそうです。
 福島県のお米に関して、それらは全て全量検査というお米全ての汚染度を測る検査を行ってから基準値以下のものを出荷しており、全体のうちの99.7%は安全です。残りは調査により汚染度が高いと判断された山の水を利用して作られた米などから検出されたものであり、当然そういったものは出荷していません。除染の対策はしっかり取っており、そのため出荷される米にはほとんどセシウムは含まれていません。

 福島県のキャッチコピーで「食べて応援」というのがあります。震災間もない時なので批判も浴び、今野さんも安全性が保障されていないにもかかわらず、福島の作物を食べて応援しようなんて考えは無理がある、と思っていたそうです。「測って確認」のような具体的なキャッチコピーのほうが良かったのではないかと意見をいただきました。
 一部の果実などの作物は、セシウムの吸収が早く、当時ラジオなどでその危険性について呼びかけていました。それだけの取り組みをしていたことはわかってほしいと今野さんは語っています。

 次回は南相馬市の今後についてお話を伺う予定です。

担当

友清 渉(法政大学)

友清 渉(法政大学)