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第14回 福祉施設の地域における役割【2】

 先週に引き続き、東京都葛飾区水元にある社会福祉法人手をつなぐ福祉会「水元そよかぜ園」からのレポートをお送りします。
 「水元そよかぜ園」は重度の知的障害を持つ方のために日中の活動を支援し、また軽度の知的障害の方のために作業や就労を支援する施設です。
 今回は、菅野 忠園長から「水元そよかぜ園」という施設の役割についてお話を伺いました!!

「水元そよかぜ園」ではどのような方を受け入れているのですか?
 知的障害があり、その中で「生活介護」と「就労継続支援B型」の方を受け入れています。「生活介護」は、比較的障害が重いです。わかりやすい基準を挙げれば、自分の力で「水元そよかぜ園」まで通うことが難しい方のことをいいます。「就労継続支援B型」は、比較的障害が軽いです。自分の力で「水元そよかぜ園」まで通うことができる方のことをいいます。
災害時、利用者をどのように避難させるのでしょうか?
 月に1回、避難訓練を必ず行っています。想定は、火事や地震のときです。例えば、火事のときでも、場所によって避難経路は変わってきます。それに基づいて皆が動けるように訓練をしています。
 障害が比較的軽度の方たちは、言葉によるコミュニケーションがとれます。ですから、互いに言葉がけをしながら、団体で避難をします。車いすの方たちのお部屋は1階で、そのまま1階の園庭や玄関に避難します。
 2階にいる重度の方たちは言葉によるコミュニケーションが難しいので、職員側が一生懸命声をかけて、階段や外の滑り台まで誘導しながら避難をします。声をかけて、本人たちに安心してもらい、なるべく負担をかけないように避難をしてもらうことを心がけています。
街中で知的障害を持った方に会ったら、どのように一緒に避難をしてもらえるようにすれば良いのですか?
 とにかく「声をかける」ことが重要です。一見しただけでは、その方に知的障害をもっているかどうかはわからないと思います。声をかけた中で、まずは「本当にこの人は、一人で危険なところから逃げることができるのか、それが難しいのか」という判断をします。
 もし、一人で逃げることが難しい場合は、まず周りの人に声をかけてください。自分一人で助けようとはしない方が良いです。もし、知的障害をもっている方に声をかけて、一緒に避難をしてもらえなくても、めげずに声をかけ続けて、周りの人の助けも借りて一緒に避難をしましょう。命が一番大事ですから。
 知的障害のあるなしに限らず、人と人とのコミュニケーションという意味で「声をかける」ということは重要だと思います。
「水元そよかぜ園」では、障害の程度が軽い方に対して就労支援を行っていると聞きました。
 すべてが就労支援というわけではありませんが、一般企業に就労することが難しい方たちに働く場所を提供し、就労できそうな方については就労訓練をして、実際の就職につなげています。
どのような仕事をしているのですか?
 公園清掃や内職のような簡単なお仕事などをしていただいています。当然ながら、賃金は発生しますので、それをお給料として渡しています。

福祉施設の地域における役割【2】 福祉施設の地域における役割【2】
福祉施設の地域における役割【2】

 園長へのインタビュー終了後、わたしは車いす体験をして、人生で生まれて初めて車いすに乗りました。
 車いすの操作に始めは戸惑いました。直進するときは両手で普通に漕ぐのですが、左に曲がりたいときは右手でのみ漕ぎ、右に曲がりたいときは左手で漕ぎます。つまり、曲がりたい方向と逆の手で漕ぐのです。これが始めは慣れませんでした。ただ、慣れてくると楽しく乗らせていただきました。
 また、段差は想像以上に辛かったです。バリアフリーの大切さを実感しました。「水元そよかぜ園」の玄関にはちょっとした1段の段差があります。試しにそれを降りようとしました。しかし、車いすの車輪がひっかかって、なかなか進まず、もどかしい思いをしました。スローブで玄関を降りたとき、スムーズさにびっくりし、そのありがたみを実感しました。

福祉施設の地域における役割【2】

 障がい者も健常者も関係なく、あくまでも個人の人間同士が、ときにはぶつかり合いながらも交流を深めていく、「水元そよかせ園」はそのようなことを大切にしている場所なのだな、と感じました。

担当

丸岡 美貴(法政大学)

丸岡美貴(法政大学)