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第104回  改善のためのDIG

先週に引き続き、災害対策研究会の釜石徹さんにインタビューしてきました。聞き手は「はなちゃん」こと神奈川大学の花澤達朗です。

災害対策研究会では災害図上演習(通称DIG)を活用した防災教育を全国で開催しています。DIGとは地図や図面を使用して災害の予防策・対策を考える参加型の演習です。

今週はDIGについて補足説明をしていただいています。

 

はなちゃん:
DIGについてのお話しということで、よろしくお願いします。

釜石さん:
DIGというのは小村隆史さんという方が創設者で今から10年以上前からやっています。しかし今、実は間違った使い方をしているのではないかというので、我々はその修正をする活動をしています。

インタビューに答えてくださる災害対策研究会の釜石徹さん
インタビューに答えてくださる災害対策研究会の釜石徹さん

はなちゃん:
修正ですか?

釜石さん:
はい。修正というのかな、補足というのかな。やっていることは別に間違っているわけではないです。ただ、不足しているというのかな。
DIGというと地図を使いますよね。そこに色々なことを書き込みます。病院やコンビニなどの役に立つものとか、リスクや火事がもし起きたらどうなるのかだとか、あるいは要支援者はどこにいるのかなど色々なことを書きながら総合的に組み合わせて町の地図に色々な情報を重ね合わせます。そして町の一番弱点がどこにあるのか見つけます。
そしてその弱点があるところを通らないように避難所に行きましょう、というように終わってしまっているのが多いんです。避難所に行くための地図作りなのかと思ってしまう。
そうではなくて、せっかく弱点を見つけたのだからその弱点をどうやって克服するのか対策を考えていかないと、意味がなくなってしまいます。今、世の中で行われているほとんどのDIGのセミナーが安全な道をたどって避難所に行く、あるいは安全な場所に行く地図作りになってしまっています。

はなちゃん:
弱いところはそのままにしてしまっている状態であるということですよね?
本来DIGはその弱点を改善することも含めたのが目的であるということですよね?

釜石さん:
せっかく弱点を見つけたのだから、その弱点を改善することによって街が強くなるわけですよね。改善すれば避難する必要もないか、あるいは最短距離で移動できるかもしれないし。もしくは、そこが危険なのであれば住まないようにしてしまえば改善されます。
それがなぜ間違った形になってしまったかというと、みんなが参加できるような形でわいわいやりながら誰でも楽しく参加しながら、防災を考えていきましょうと場の設定の意味で作ったわけですよ。それで地域を理解しながら地図へ書き込んで課題を検討して対応、対策をしながら発表するんですけど。
ここのところが甘くなってきちゃったんですね。成果を発表して評価することがDIGの成果になってしまって。DIGの合言葉としては「街を知る」「災害を知る」「みんなで参加する」「新しい発見」「参加者がコミュニケーションできる」とかあるんですけど、これらは活かされているんですよね。
でもDIGというのはゴールじゃなくてきっかけなのではないかということを忘れてしまっているんじゃないかと思います。

来週も引き続き、災害対策研究会の釜石徹さんのお話しをお届けします。

担当

松浦 奈々(法政大学)

松浦 奈々(法政大学)

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