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第8回 渡辺実のぶらり防災・危機管理【8】

防災・危機管理ジャーナリスト渡辺実さんのオフィスにおじゃましています。

このコーナーは、日経ビジネスオンラインの「渡辺実のぶらり防災・危機管理」と連動しています。

今回は、東海地震とみなし被災地についてお話をお伺いしました。

渡辺実のぶらり防災・危機管理【8】

岩村:
「私は、伊東市出身で小さい時からずっと東海地震は明日起きるといわれていたのですが、東海地震も起こりそうなんですか?」
渡辺さん:
「南海トラフの一番東側に位置する場所で発生するのが東海地震ですよ。東海地震は、ずっと問題になっています。というのも、前回1900年代の南海トラフの地震で、東海エリアだけは地震が起きていないと言われ、この東海地震が一人歩きを始めたんですね。
今回の想定の南海トラフ地震は、東海・東南海・南海・日向灘まで含めた4連動の地震が含まれています。
皆さんのように若い世代は2回大地震を経験しますよと言っていますが、当然のように東海地震も可能性に入っています。
今まで起きていないのは幸いですが、カウントダウンは始まっていると思います。」
岩村:
「なるほど。渡辺さんが提案されている『みなし被災地』とは、どういったことなんでしょうか?」
渡辺さん:
「東日本大震災後に、僕自身が岩手県宮古市田老地区の復興のお手伝いをしていました。低い場所にあった街が被災したわけですが、復興の際に高い場所に街を作ろうとすることは、単純で分かりやすいロジックですよね。
日本には防災集団移転法という制度があります。これは、災害が起きる前に災害危険区域を指定して、家は国の補助で高台に移転してもらうということなんです。田老地区でも被害を受けた方は適用されるんです。ところが、この前の津波では被害を受けずに残った集落や家は対象にならない。そうすると新しい街を高台につくっても、被害を受けなかった方々が元の場所に残されてしまう。次の災害で被害に遭うかもれないですよね。」
岩村:
「はい」
渡辺さん:
「ですから、今回の被害想定の中で、津波が来て浸水が想定されるエリアも同じことが言えます。これを事前にみなし、防災集団移転法を適用して津波が来る前に高台に移転してしまおうという考え方を田老地区での教訓として訴えています。
実は、国土交通省が今年の6月に『津波防災地域づくりに関する法律』というのを施行しているのです。この法律の中に僕の『みなし被災地』という考え方が事業になる可能性が出てきているんですね。これだけ、大津波が来る危険なエリアがあると今回の被害想定でも分かったわけで、このエリアの人たちを事前に高台に移転させれば被害に遭わないわけですね。ただ、現行の法律は被害に遭わなければ補助されないという仕組みなんです。これを『津波防災地域づくりに関する法律』はある条件を満たせば、国の補助事業にできるということなっています。これが施行されたのは、一歩前進。ただ、一般の方や自治体にこの試みがPRもされていないのは大きな課題だと思います。」
岩村:
「ありがとうございました!」

東海地震、みなし被災地についてのお話、勉強になりました。
次回も防災についてのお話をお伺いします。

お楽しみに!

渡辺さんプロフィール

渡辺 実(わたなべ・みのる)

渡辺 実(わたなべ・みのる)

防災・危機監理ジャーナリスト。株式会社まちづくり計画研究所所長、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長。日本災害情報学会理事。国内外の被災地へ即座に入り、都市・地域防災へのアドバイスやマスメディアの災害報道への協力をはじめ、さまざまな角度から防災・減災に取り組む。全国の講演・研修活動を通じて各自治体や企業、市民の防災への取り組み方や課題も伝え続けている。著書『都市住民のための防災読本』『大地震にそなえる 自分と大切な人を守る方法』『高層難民』他多数、防災アプリ『彼女を守る51の方法』も監修。

詳しい内容は、日経ビジネスオンラインの記事でご覧いただけます。

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担当

岩村 友香里
(日本大学・メインパーソナリティ)

岩村友香里(日本大学・メインパーソナリティ)