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第6回 渡辺実のぶらり防災・危機管理【6】

防災・危機管理ジャーナリスト渡辺実さんのオフィスにおじゃましています。

このコーナーは、日経ビジネスオンラインの「渡辺実のぶらり防災・危機管理」と連動しています。

今回は、南海トラフの巨大地震についてお話をお伺いしました。

渡辺実のぶらり防災・危機管理【6】

岩村:
「2012年8月下旬に内閣府が南海トラフの巨大地震に対する被害想定を公表したのですが、そもそも南海トラフの巨大地震というのはどういう地震なんでしょうか?」
渡辺さん:
「日本で起きた巨大地震の一つは、3.11に起きた東日本大震災ですよね。その後に、日本列島全体のストレスの環境が随分変わりました。3.11以前から我々が警戒しているのが南海トラフ沿いの巨大地震です。これは、静岡から中部、紀伊半島、四国、九州の沖合の太平洋側に横たわっている地震の巣、これを南海トラフと言います。ここで過去90年~150年くらいの間隔でM8.0クラスの巨大地震が繰り返し起きているんですね。この地震を、3.11に起きた東日本大震災後の知見を踏まえて見直しを行った結果が、発表された政府の被害想定です。」
岩村:
「先ほど、被害想定ということで『SF』という風におっしゃっていましたが、『SF』とはどういう意味なんでしょうか?」
渡辺さん:
「基本的に、被害想定というのはある条件確率で起きる出来事をコンピューターが計算をして数字・数量的に、死者の数、建物の倒壊数、津波の高さ、どのくらいエリアに水が侵入してくるか等を確率論で出す手法なんですね。基本的には、フィクションなんです。でも、そこには科学的な知見や科学的な根拠を持たないといけないので、被害想定というのはSF(サイエンスフィクション)だと思っているんです。ここで大事なのは、S(サイエンス)の部分です。その根拠が多くの学者によって検証され、その結果を我々国民や自治体が活用していくわけですが、ここに説得感がなければいけません。地震関連で言えば小松左京先生のお書きになった『日本沈没』という小説がありますね。これは、小説としても名作ですが『SF』の世界でもかなりの根拠つまり『S』を持ったSF小説だと思います。今回も、どこまで科学的な『S』という所を我々が納得できるかだと思います。」
岩村:
「今メディアでは、32万3000人と報道されていますがこの数字についてはどう思われますか?」
渡辺さん:
「3.11の東日本大震災で、起きないといわれていたM9.0の超巨大地震が発生したわけです。それまでは、M8.0クラスの規模の地震がトラフ沿いで連動して起き、死者の数も2万5000人というのが従前の南海トラフの被害想定だったんですね。 今回、3.11にM9.0が起きてしまいましたから想定マグニチュードを9にしました。そして、さらに3連動から4連動ないし5連動というエリアをもっと広くして起き得る最悪の事態を想定しています。地震・津波を起こして、建物が倒壊し火災が起き、避難率も2割という最悪の事態を想定した結果が32万3000人という数字になっているんですね。」
岩村:
「ありがとうございました。」

被害想定の意味と南海トラフについて勉強になりました。
次回も、南海トラフ地震についてのお話をお伺いします。

お楽しみに!

渡辺さんプロフィール

渡辺 実(わたなべ・みのる)

渡辺 実(わたなべ・みのる)

防災・危機監理ジャーナリスト。株式会社まちづくり計画研究所所長、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長。日本災害情報学会理事。国内外の被災地へ即座に入り、都市・地域防災へのアドバイスやマスメディアの災害報道への協力をはじめ、さまざまな角度から防災・減災に取り組む。全国の講演・研修活動を通じて各自治体や企業、市民の防災への取り組み方や課題も伝え続けている。著書『都市住民のための防災読本』『大地震にそなえる 自分と大切な人を守る方法』『高層難民』他多数、防災アプリ『彼女を守る51の方法』も監修。

詳しい内容は、日経ビジネスオンラインの記事でご覧いただけます。

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担当

岩村 友香里
(日本大学・メインパーソナリティ)