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第3回 渡辺実のぶらり防災・危機管理【3】

防災・危機管理ジャーナリスト渡辺実さんと岩村が丸の内を歩いてまいりました。

このコーナーは、日経ビジネスオンラインの「渡辺実のぶらり防災・危機管理」と連動しています。

今回は、「日比谷公園」にてお話をお伺いしました。

渡辺実のぶらり防災・危機管理【3】

岩村:
「今回は、日比谷公園に来ています。東日本大震災の際にここ日比谷でも多くの帰宅難民が出たと思うのですが、帰宅難民についての問題点を教えてください。」
渡辺さん:

「2011年3月11日14時46分に東日本大震災が起きました。この東京も揺れました。
今まで経験もしたことがない揺れでしたから日比谷のようなオフィス街では働いていた人たちが一斉に外に出たんです。 その人が、一斉に駅に押し寄せたんですね。

結局、電車が動かないので帰れなかった。
結果的に350万人の帰宅難民が生まれてしまった。

でも多くの人たちが「帰ろう」としたんです。
実際に歩いて帰った方もいましたし、帰宅難民を支援しようと避難所になるべき施設が開放されてしまったんですね。

しかし、本来避難所というのは、被災した地域の方が使う所なんです。

今度、大きな地震が起きた時に、あの時は水をくれたじゃないか、寝かせてくれたじゃないかと、施設に同じことを求める人々が出てくるだろうという問題がひとつめです。

首都直下の地震が起きると東京都だけで334万人の被災者が出ると言われています。」

岩村:
「334万人ですか…。」
渡辺さん:

「2つ目の問題として、これらの人々が一斉に帰ろうとしても、東京・首都圏が被災地になりますから建物もつぶれているし火災が起きます。特に、山の手通りから環七の間は火災が発生し、火の海になります。3.11の体験で帰れると思っている人が、帰ろうと思ってもその火災を突破しないと帰れないんです。それが首都直下地震の本番です。

3つ目の問題は、『帰らなければいけない人』がいることが分かったんです。

それは、自宅に寝たきりの親を置いたままにしている人。また、若い共稼ぎの夫婦で子供を保育園などに預けている人。たまたま、携帯電話の安否情報を確認して『お父さん、家が燃えているよ』などの情報が帰ってきた人。
こういう、帰らなければいけない必然性がある人たちがいるんですね。

ですから、災害が起きた時にすぐに帰らなくていい人達や、特に体力のある若い人には帰ってほしくないんです。

むしろ、大事なことは、帰らなければいけない人たちを優先的にバスやタクシーに乗ってもらう事が必要なんです。その為にも自分は帰らないという選択をすること。

これが災害直後、大都市東京に住み、働く我々が帰宅難民という状況に直面した時に、対策として持つ意識だと思います。

東京で大きな地震が起きたら、「帰すな・帰るな」という企業への義務付けを東京都は条例にしています。
ですから、3.11も踏まえてやっと国も具体的に皆さんの行動指針を打ち出してきています。」

岩村:
「渡辺さん、ありがとうございました。」

帰宅難民についてのお話、非常に勉強になる内容でした。
次回も、丸の内でお話をお伺いしています。

お楽しみに!

渡辺さんプロフィール

渡辺 実(わたなべ・みのる)

渡辺 実(わたなべ・みのる)

防災・危機監理ジャーナリスト。株式会社まちづくり計画研究所所長、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長。日本災害情報学会理事。国内外の被災地へ即座に入り、都市・地域防災へのアドバイスやマスメディアの災害報道への協力をはじめ、さまざまな角度から防災・減災に取り組む。全国の講演・研修活動を通じて各自治体や企業、市民の防災への取り組み方や課題も伝え続けている。著書『都市住民のための防災読本』『大地震にそなえる 自分と大切な人を守る方法』『高層難民』他多数、防災アプリ『彼女を守る51の方法』も監修。

詳しい内容は、日経ビジネスオンラインの記事でご覧いただけます。

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担当

岩村 友香里
(日本大学・メインパーソナリティ)

岩村友香里(日本大学・メインパーソナリティ)