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第32回 震災後の無形文化財の保存【1】 ~一般社団法人儀礼文化学会の事務局長・久保田 裕道さんに聞く~

 今回から2週にわたって一般社団法人儀礼文化学会の事務局長・久保田 裕道さんにお話しを伺います。インタビュアーは法政大学4年の丸岡 美貴です。儀礼文化学会は、東日本大震災の被災地での無形文化遺産の保存に力を入れておられます。

儀礼文化学会事務局長・久保田裕道さん(右)とインタビュアーの丸岡 美貴(左)
儀礼文化学会事務局長・久保田裕道さん(右)とインタビュアーの丸岡 美貴(左)

儀礼文化学会とはどういう学会ですか?
 堅苦しい名前ではありますが、儀礼文化という形のある日本文化を研究していきましょうという学会です。具体的には神社やお寺のお祭りや行事、民俗芸能、それからお茶とかお花などのお稽古事などいろいろ形のある文化が日本には残っていますが、それらを総合的に考えていきましょうという団体です。
無形文化遺産とは何ですか?
 いわゆる文化財は、形のある有形文化財と、形のない無形文化財があります。有形文化財は仏像だとか、刀、建築など形のあるものですが、無形は形が全くないものではなくて、人間が演じるものです。つまり人間が演じないと形がないわけですね。例えば、民俗芸能やお祭り、民俗技術などがあります。
 先日、無形文化遺産情報ネットワークというものに関わりを持ちました。これは、公益社団法人 全日本郷土芸能協会や東京文化財研究所、独立行政法人防災科学技術研究所などと連携して立ち上げたのですが、東日本大震災が起こってから無形文化遺産がどうなっているか情報が集まってこなかったのですが、それらの情報を集めて何とかしていきましょうというのが目的です。

無形文化遺産情報ネットワークのウェブサイト
無形文化遺産情報ネットワークのウェブサイト

具体的には無形文化遺産の保存をどのようなプロセスで行っているのですか?
 有形文化財は東日本大震災発災後すぐに「文化財レスキュー」ができて、津波で流されてしまったものを復元・保存しましょうという動きがありました。無形文化財の方は、発災直後は行政の方もそこまで手が回らないという現状でした。当然ですが、まず人間の安否確認と生活再建が優先されるわけですから。
 それで、「あそこの獅子舞はどうなった」「神楽はどうしているんだろう」という情報を知っている人がとても少なかったので、まずは情報を集めるところから始めたわけです。ただ、震災直後は人が入れなかったですし、その後は東京もそうでしたけど、自粛ムードがありました。
 ただ、百箇日の法要があった後くらいからお盆にかけて、もう一度お祭りなどをやりたいという声が被災された方々からも上がってきました。ちょうど避難所から仮設住宅に移るときだったと思いますが、その辺りから情報も少しずつ集まりだしました。

担当

吉田 龍平(東洋大学)(写真左)

吉田 龍平(東洋大学)(写真左)