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第68回 防災と心理学【2】

石井:
 今週は、先週紹介した山村 武彦さんの著書『人は皆「自分だけは死なない」と思っている -防災オンチの日本人』(宝島社)から出ている「知っておきたい心の防災袋」の中から抜粋した部分を紹介したいと思います。
 ここでは、「知っておくべき人間の本能」というのがあり、「人は都合のいい情報をカットしてしまうことがある」と書いてあります。
 さらに続けて「人はやらなければならない事実があるとき、自分を正当化することがある。これは災害でも同じである。人は危険信号を無視しがちである。危険が感じられないとしたらそれは自らがシャットアウトしているに過ぎない。日本は災害列島であるということは紛れもない事実なのだから。」
 というのがありますが、これ、たしかにわかります。どこかで自分は関係ないと思いがちですね。
       

人は皆「自分だけは死なない」と思っている
『人は皆「自分だけは死なない」と思っている -防災オンチの日本人』(宝島社)

井上:
 僕も自分にとって都合のよくないことは無視することはありますね。
石井:
 テレビでもこれから日本ではまた災害が起こると言われているのに、心の中で自分は大丈夫なのではないかと思いがちですね。
 あともうひとつ、「人は自分だけは地震で死なないと思う。自分だけは、災害が起きても冷静に対応できると思っている。しかしそれは根拠のないことで、実際に災害が起きた時人は動揺し、考えられない行動をとってしまう。なので、自分だけは大丈夫だと思わずに謙虚に対応する姿勢が大事だ。」と書いてある。
 日本人は地震に慣れているよね。日本では地震がよく起こるから。
井上:
 そうですね。
石井:
 どこかで地震に対する恐怖心は持っておいたほうがいいね。
 あと、「人は逃げない。人が逃げるには危険だと認識する必要がある。しかし、現代人にはその心の非常スイッチが入りにくい。現代人はテレビやインターネットで情報を見聞きし、あたかもそのことについて知っているような感覚となりがちである。災害時でも、現場の状況より先入観を優先してしまうことになる。これらは現代ならではの防災課題である。」 と書かれているけど、僕自身、何か災害が起こったら被害は二の次にするかもしれないね。
井上:
 そうですね。危ないと思います。しかし、情報がなければどこに逃げていいのかがわからないといった問題点もあるので、メディアからの情報もある程度は必要だと思います。
石井:
 そうだね。あと、「都市生活は危機本能を低下させる」という項目があって「便利な都市機能の中で、努力せずとも食料などが手に入る環境に慣れてしまうと、人間にいつの間にか備わっていたはずの危機本能が退化してしまう。また、人工的な都市生活に慣れてしまうことで、自然の恐ろしさや脅威を軽視しがちである」と書いてある。
井上:
 これわかりますね。
石井:
 この前、携帯を落としてしまったのだけれど、そのときは連絡手段がなくなって大変だった。さっき情報は必要と話したけれど、災害時に携帯がつながらなくなったりして情報源のデバイスが無くなると、どうしようもなくなるかもしれないね。
井上:
 はい。
石井:
 あと「パニックは簡単に起こらない。正しい情報が入ってこないとわかった時に人間は本当にパニックになる。」と書いてある。
 東日本大震災の時も、どこからか「石油コンビナートが爆発した影響で石油のまじった雨が降ってくる。」という誤った情報がチェーンメールでたくさん回ってきた。正確な情報がないとこのようなデマがたくさん出回るからパニックになりがちだよね。
井上:
 そうですね。僕の家族にも回ってきたのを覚えています。
石井:
 災害時は特に、何が正確で何が正確でないかの情報の取捨選択は重要だよね。
 今回取り上げた、「人はみな自分だけは死なないと思っている。防災音痴の日本人」の著者山村たけひこさんはIVUSAの特別顧問でもあります。
 防災と心理というのは大きなテーマなので、これからも随時取り上げていきたいと思いますので、皆さまぜひお楽しみに。
 以上、情報部でした。
       

担当

内藤 友晴(法政大学)

内藤 友晴(法政大学)