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情報部

第67回 防災と心理学

 今回の情報部は、防災と心理学。災害時において人間はどのような心理が働くのか?という、通常時とは違う心理について考えます。防災システム研究所所長の山村 武彦さんの書かれた『人は皆「自分だけは死なない」と思っている -防災オンチの日本人』(宝島社)を読み、そのなかで「集団同調性バイアス」についてまとめてみました。

       

人は皆「自分だけは死なない」と思っている
著者の山村 武彦さんは、IVUSAの特別顧問をしていただいています。
この本が書かれたのは東日本大震災の前です。
防災や危機管理を知る上での必読書と言えるでしょう。

 実際に発生した事件を元に解説していきたいと思います。それは、2003年2月13日午前9時13分に韓国の地下鉄で放火事件がありました。地下鉄に放火犯が火を車内に放ち、火災が発生しました。しかし、乗客は地下鉄車内に煙が充満しているのにも関わらず避難が遅れてしまい、たくさんの犠牲者が出てしまいました。
 実際に当時の写真が残っていますが、煙が充満する車内で乗客たちは座席に座って、他の乗客の様子をうかがっているという内容です。なぜ煙が充満しているのにも関わらず、乗客たちは座っていたのでしょうか?
 当時の乗客の中で助かった人に当時の様子を聞いてみると「最初はまさかこんなに大変な火事が起こっているとは思わなかった。他の乗客たちもジッと座っているから自分もそうした」「その後誰かが火事だと言ったのであわてて窓を割って逃げ出した。他の人の状況はわからない」というものでした。
 やはり、周囲の人がそうしているから自分も同じ行動を取る。人間の集団心理がマイナスに働いてしまっているのです。このことを「集団同調性バイアス」と呼びます。

 いかがでしょうか?これを読んでいる皆さんは実際に災害や事故が起きてしまったときにどういう行動を取るでしょうか?みんながこういう行動を取っているからとりあえず自分も…という思考に陥りがちですが、周囲の人が取っている行動は必ずしも正しいとは限りません。非常時こそ冷静に自分で考えて行動することが大切な時もあります。

 今回は、集団同調性バイアスについて解説しました。次回も防災と心理学について紹介していきたいと思います。

担当

石井 将(国士舘大学)

石井 将(国士舘大学)